GmailはAI学習に使われるのか?Googleの否定、スマート機能の仕組みと訴訟動向

Danny Weber

19:46 24-11-2025

© B. Naumkin

GoogleがGmailの内容をGeminiなどのAI学習に使っているのかを検証。Googleの否定声明、スマート機能の仕組みとプライバシーの線引き、集団訴訟の動き、Pixel 10の新たなファイル転送も解説。SNSの反発や既定オンの指摘、Malwarebytesの主張とThe Vergeの取材を整理。

GoogleがGmailの内容をAIの学習に使っているという主張がオンラインで広がり、同社に新たな視線が注がれている。発端は、Googleが方針を変更したとするMalwarebytesのブログ。メッセージや添付ファイル、個人データが、知らないうちにGeminiの訓練に回されるのではないかという不安を煽った。

同社はすぐに反応した。The Vergeの取材に対し、広報のジェニー・トムソン氏は、これらの主張が人々を誤解させるものだと述べた。設定は変更しておらず、Gmailのスマート機能は以前から存在していて、Geminiの学習とは結び付いていないと説明。さらに、メールの内容はグローバルなAIモデルの学習には用いていないと強調した。

しかし、その時には反発が膨らみ始めていた。SNSには、テキストの自動補完やフライト情報の自動検出、受信トレイの自動整理といったスマート機能がデフォルトで有効になっていると示すスクリーンショットが相次いだ。いったんオフにしても再びオンに戻ったと話すユーザーもおり、疑心はさらに強まった。

混乱の大半は、これらの機能の仕組みに由来する。スマート機能はGmailのデータを解析するが、それは一人ひとりに合わせたパーソナライズのためで、グローバルなAIシステムの訓練のためではないという。Googleは、個々のサービスの最適化と、汎用モデルの学習は全く別物だと主張している。理屈としては明確でも、線引きのニュアンスは伝わりにくい。

それでも納得しない声は残る。最近の集団訴訟では、GoogleがGmail、Chat、MeetへのアクセスをGeminiに与えていると非難している。Googleはこれを否定しているが、緊張は簡単には収まりそうにない。

タイミングも微妙だ。Googleは、これまでで最も強力だとするAIモデル「Gemini 3」の訴求を強めている。人工知能が生活に根を下ろすほど、プライバシー設定への視線は厳しくなり、問いは鋭さを増す。馴染みのあるトグルでさえ、今の空気の中では疑わしく見えがちだ。

一方でGoogleは、別の利便性も披露した。Pixel 10のユーザーは、追加の設定なしに、iPhoneやiPad、Macへファイルを直接すばやく送れるようになった。