Danny Weber
03:46 25-11-2025
© MediaTek
MediaTekの4nm車載SoC「Dimensity Cockpit P1 Ultra」を詳説。175,000DMIPSのオクタコアCPU、RT対応GPU、23TOPS NPUで車内AIとUIを強化。5G/Wi‑Fi/BT/GNSSや6画面、4K/60再生にも対応。HDR対応ISPや生成AI、T‑BOX統合。
MediaTekは、現代のインテリジェントキャビン向けに設計した4nmの車載プラットフォーム「Dimensity Cockpit P1 Ultra」を発表した。高い計算処理と先進AI、さらにハードウェアレイトレーシングに対応するグラフィックスを組み合わせたのが特徴だ。初搭載車はまもなく登場する見通しだとしている。車内体験の高度化が進む中、こうした統合型プラットフォームの投入は自然な流れだ。
P1 Ultraは、最大17万5,000DMIPSを引き出すオクタコアCPUと、ハードウェアレイトレーシング対応の新グラフィックスエンジン(最大1,800GFLOPS)を組み合わせる。このクラスのGPU性能が自動車分野に現れるのは初めてで、車内インターフェースやエンタメの描画品質は目に見えて向上すると見込まれる。実際、UIの表現力や滑らかさで違いが出そうだ。
AIは中核に据えられている。プロセッサには23TOPSのNPUが統合され、生成モデルを車内で直接実行できる。最大70億パラメータの言語モデルに対応し、高度な音声アシスタントやマルチモーダルなインターフェース、画像生成、クラウドに頼らないローカルの安全アルゴリズムまで可能になる設計だ。車内で完結する処理に重きを置いた方向性がはっきりしている。
MediaTekがもう一つ重視したのは、自動車メーカーの開発期間を縮めること。Dimensity Cockpit P1 Ultraは、スマートコクピット、コネクティビティ、T-BOXテレマティクスモジュールをワンチップに統合した。5G、デュアルバンドWi‑Fi、Bluetooth、GNSSに対応し、モデムも内蔵。カメラ処理はHDR対応ISPが担い、AIノイズリダクションと自動処理により、サラウンドビューやドライブレコーダー、車内モニタリングの品質を高める。機能が一つにまとまることで、設計の見通しを立てやすくなる印象だ。
マルチメディア面では、最大6枚のディスプレイを同時駆動でき、MiraVisionにより4K/60fpsの動画再生と録画をサポートする。実装に余裕が生まれることで、運転席・同乗者の双方に向けたリッチなエンターテインメント体験を用意しやすくなる。あわせてMediaTekは、Dimensity Cockpit P1 Ultraを5G、4G、Wi‑Fiの3バリエーションで提供し、いずれもオクタコアCPUと6コアGPUを共通アーキテクチャとして採用することを明らかにしている。