RAMボイコットは有効か?AI時代のDRAM価格とPCゲーマーの最適解

Danny Weber

08:01 01-12-2025

© A. Krivonosov

ゲーム界で高まるRAMボイコット要求を検証。AI需要でDRAMが逼迫し価格は上昇、影響は限定的という見立て。8~16GBなら増設は待ち、セールや完成品PCを活用。正常化は2027年の可能性。HBMやGDDRなどAI向け供給が優先され、小売は後回し。賢い買い時と価格動向の見極め方を解説。購入判断に役立つ。

ゲームコミュニティで「RAMボイコット」を求める声が高まっている。メーカーに値下げを迫る狙いだが、市場に与える影響はごく小さいというのがアナリストの見立てだ。その理由は、耳障りではあるが筋が通っている。

SNSでは議論が白熱しているものの、DDR4やDDR5の価格上昇は小売の上乗せが原因ではなく、世界的なサプライチェーンの力学にある。パンデミックを経て需要が落ち込んだ時期に、DRAM各社は生産を削減。多くのゲーマーがAM4など旧プラットフォームにとどまったことも需要を冷やした。生産ラインはより収益性の高い分野へ振り向けられ、その結果として、いまの品薄が生まれている。

足元でメモリを最も吸い込んでいるのは人工知能(AI)分野だ。DRAMやLPDDR、GDDR、RDIMM、そしてとりわけHBMが、AIチップを設計・運用する企業に大量に買われている。メーカー各社が能力の多くをそこに振り向けるのは当然で、利益の薄いPCゲーム向けは優先順位が下がる。仮にゲーマーが購入を一斉に止めても、需要全体はほとんど動かない。大口が作れるだけの数量を吸収してしまうからだ。こうした構図では、小売市場はどうしても後回しになる。

ならば、ボイコットで潮目を変えるより、PCユーザーは賢く立ち回った方がいい。すでに8~16GBを積んでいるなら、増設は急がず様子見が得策。いま買えば割高を飲み込むことになり、後で入れ替えられる部品にプレミアムを払うだけだ。どうしても今すぐ必要なら、季節のセールを狙うか、メモリ高騰の影響がまだ十分に価格へ反映されていない完成品PCを検討するのが現実的だ。

専門家は、DRAMの逼迫が続く限り、コンシューマー向け機器の価格は上がり続けると警鐘を鳴らす。現時点の予測では、市場の正常化は2027年までずれ込む可能性がある。だからこそ、価格動向を丁寧に見極め、勢い任せの出費は避けたい。