Micron、Crucialのコンシューマー事業を終了へ—AI需要に注力し2026年2月で販売終了

Danny Weber

21:40 04-12-2025

© RusPhotoBank

Micronが約30年続いたCrucialのコンシューマー向けメモリ・SSD事業を終了。AI需要へ全面シフトし、販売は2026年2月まで。ゲーマーや自作PC勢への影響、価格動向、保証対応をわかりやすく解説。サプライチェーンの優先順位やPC市場の選択肢縮小、在庫の買い時も検討材料に。購入は早めの判断が安心です。

米Micronが、約30年続いたコンシューマー向けブランドCrucialの終了を突然発表した。同社はメモリーモジュールとSSDの一般向け製品を段階的に縮小し、製造能力を人工知能(AI)分野の顧客に全面的に振り向ける。堅実で手頃なメモリーを頼りにしてきたゲーマーや自作派にとっては、胸に響く知らせだ。

1996年の登場以来、Crucialはサムスン、SKハイニックス、コルセアといった強豪と肩を並べてきた。しかしAI向けメモリー需要の急伸を受け、Micronは大容量のDRAMやストレージを求めるエンタープライズ顧客へ軸足を移す。最も収益性の高い分野での地位を強化し、長期的な効率を高める狙いだと同社は位置づける。サプライチェーン全体の優先順位をAIが一気に塗り替えている現実が、今回のタイミングからもにじむ。

Micronのエグゼクティブバイスプレジデント、スミット・サダナ氏は、AIを追い風にデータセンターが拡大し、メモリーとストレージの需要が急増していると説明。急成長分野の大口戦略顧客に対して、供給とサポートをより確実にするため、Crucialのコンシューマー事業から撤退するという難しい決断に至ったと述べた。

一般消費者がCrucial製品を購入できるのは、Micronの会計年度第2四半期の終了、すなわち2026年2月まで。その後3月から、同ブランドは小売の場から事実上姿を消す。会社は保証の履行とサポートの継続を約束し、Crucialの従業員は社内の他部門に配置転換する計画だ。

PC市場にとってこの離脱は小さくない。大手ブランドが一つ減れば選択肢は狭まり、価格を押し上げる要因にもなりうる。すでにAI企業の大量調達でDRAMは値上がり基調だ。そうした圧力のもと、日常使いのRAMやSSDの入手性はじわじわと後退しており、Crucialの退場で状況が早期に好転する兆しは薄い。