OpenAIのDDR5買い集め疑惑が示す、AI拡大とメモリ不足の現実

Danny Weber

03:41 05-12-2025

© A. Krivonosov

OpenAI社員が小売店でDDR5メモリを買い集めているとの未確認情報を検証。AI拡大でDRAM需給が逼迫し、価格、コンシューマー市場に及ぶ影響とリスクを解説。Stargate計画など大型AIインフラの需要がサーバーDRAMを圧迫し、データセンター優先の供給や価格上昇、PCアップグレード需要との競合が懸念されます。

内部関係者のMoore’s Law Is Deadによれば、OpenAIの社員が店舗に足を運び、サーバー向けのECCに限らず、手に入るDDR5キットを片っ端から買い集めているという。投稿は、こうした買い付けが社内プロジェクト向けの高速メモリを押さえる戦略の一環であり、在庫と価格で揺れる市場に追加の圧力をかける可能性があると指摘している。

もっとも、社員による小売での購入を特定して裏づける公式発表や独立調査は現時点で存在しない。いまのところ、インサイダー筋の未確認情報にとどまる。ただ、AIの急拡大を背景にしたメモリ不足の構図自体は理にかなっている。10月から11月にかけて業界メディアは、大規模なAIインフラ計画(Stargateプロジェクト周辺を含む)が膨大なDRAMを要しうると報じ、対象はDDR5に加えてアクセラレータ向けの専用メモリにも及び、世界の生産能力の相当部分に迫る規模になり得るとしていた。

この流れが続けば、コンシューマー領域への重圧は強まるばかりだ。大手が数年先まで供給枠を押さえれば、メーカーやシステムビルダーは価格の安定を保ちにくくなる。すでにアナリストはDRAMの需給が逼迫していると警鐘を鳴らし、サーバー側のメモリ消費が増えるにつれ、契約価格の上方修正があり得ると見ている。

足元では、OpenAI社員が量販店の売り場に現れたという話は、噂がすぐに熱狂の引き金になる神経質な市場心理の表れにも映る。いずれにせよ、メモリが業界全体のボトルネックへと変わりつつある現実は動かない。企業需要の加速が続けば、DDR5はデータセンターだけでなく、PCをアップグレードしたい一般ユーザーとの争奪戦にもなりかねない。