Danny Weber
15:31 05-12-2025
© A. Krivonosov
2025年のグラフィックカード選びを解説。1080p/1440p/4K別の最適解、16GB VRAM推奨の理由、DLSS/MFG・FSR・XeSSの違い、RTX 5070 TiやRX 9070 XTほか注目GPUを比較。購入の決め手を短時間で把握。予算別の狙い目やRTX 5060 Ti 16GBも紹介。
いま、グラフィックカード選びは以前よりも簡単で、同時に難しくもなっている。簡単なのは、AMD、Nvidia、Intelが現行世代のラインアップを出そろえ、当面は不意の伏兵が現れにくいからだ。難しいのは、もはや“単純なFPS至上主義”では済まない点。店頭価格やVRAM容量に加え、どの技術エコシステムに乗るかが同じくらい重要になった。NvidiaならDLSSとMulti-Frame Generation(MFG)、AMDはFSR、IntelはXeSSが軸になる。AIブームで製造キャパシティが逼迫するなか、急で持続的な値下がりは期待しづらい。だから2025年の現実的な方針は明快だ。自分の解像度と設定で気持ちよく遊べるものを、過度な“理論上の余力”に追加料金を払わず選ぶこと。Pepelats Newsは市場を洗い直し、チェックする価値のあるGPUをいくつか抽出した。
主戦場が1080pなら、純粋な馬力よりも安定性と価格のバランスがものを言う。1440pでは一段上の性能帯が必要で、VRAMへの目配りも欠かせない。4Kで高設定、ありとあらゆる項目をオンにしたいなら、選択肢は一気にプレミア帯へ移る。そこではアップスケーリングとフレーム生成が結果を大きく左右し、体感の滑らかさを底上げする。
ひと言で助言するなら、VRAM 16GB構成は非常に説得力がある。理由は単純だ。最新作は総じてメモリ食いで、アップスケーリングやフレーム生成に加えてレイトレーシングを有効にすると、その傾向はさらに強まる。そうなると12GB、まして8GBでは、どの効果を残すかの取捨選択に追われがちだ。
その視点で見ると、Radeon RX 9070は堅実なミドルレンジの一枚に映る。テストではRTX 5070に近い実力を示しつつ、競合の12GBに対して16GBを搭載。増えた4GBが重いタイトルでのフレーム落ちや不要な設定いじりを避ける助けになる。1440pに余裕を持たせつつ4Kにも足をかけたいなら、Radeon RX 9070 XTがバランスの良い熱中派向けの選択肢だ。素の性能はRTX 5070 Tiに肉薄し、価格は概して抑えめ。16GBにFSR 4対応という組み合わせは扱いやすい。
2025年にGeForceを買うのは、ハードと同じくらいソフトへの投資でもある。DLSS 4は高品位なアップスケーラーとして広く評価され、RTX 50シリーズはMulti-Frame Generationを加えた。余分なフレームを挿入し、シーンによっては体感で2〜4倍の伸びを生むことがある。レイトレーシングを楽しみたい、高リフレッシュのディスプレイで最も滑らかな表示を求めたい、そしてその技術パッケージに対価を払う覚悟があるなら、RTX 5070 TiはBlackwell世代で最も理にかなった一枚に見える。16GBのVRAM、DLSS 4とMFGのフル機能、強力なRT性能がそろう。
一方でRTX 5070は、主に12GBというメモリ容量ゆえに評価が割れる。総じて強いが、RT+DLSS+フレーム生成を重ねるような最重量級のシナリオでは設定のやりくりが増えるだろう。長く使う前提なら、16GBの代替候補より安心感は一段落ちる、という印象は拭いにくい。
$500以下では、RTX 5060 Ti 16GBが頭ひとつ抜ける。ゲームにおける速度と安定の両面で、競合のRadeon RX 9060 XT 16GBより一貫性が高い。16GBあれば、RTとDLSSを有効にしてもVRAM残量を逐一気にする場面が減る。価格はAMD勢より高くつくものの、狙いは安定度だ。マイクロスタッターの少なさと滑らかさの予見性は、使っていて確かに違う。
一方で、コスト当たりのフレーム重視でなるべく安く収めたいなら、Radeon RX 9060 XT 16GBは優等生だ。1080p〜1440pならほとんどのタイトルをそつなくこなし、16GBのおかげでメモリがボトルネックになりにくい。もっとも、ソフトの成熟度や技術の普及度では、AMDは依然としてNvidiaに一歩及ばないことは付け加えておきたい。
およそ$300のレンジでは、1080pに最適な本命としてRTX 5060を推したくなる。ただし注意点がある。8GBでは、特にフレーム生成を積極的に使いたい場面で制約が出やすい(MFG自体もVRAMを要する)。人気タイトルを快適にこなすには良いが、重量級AAAを全開設定で、という用途には最適解とは言いがたい。
$300が天井で、新品保証付きにこだわるなら、Intel Arc B570は“許容できる選択”だ。8GBより10GBのほうが1080pでの安心感は増す。その代わり、Arcエコシステム特有のクセや、XeSS 2やIntel製フレーム生成の採用状況が控えめである点は受け入れる必要がある。
RTX 5090は疑いなく頂点だ。4Kのフル設定で余裕を見せ、圧倒的な性能と32GBのGDDR7を備える。ただし、そこは“価値”という物差しが効きにくい世界でもある。実売は依然として推奨価格を大きく上回り、消費電力の要求も重い。電源と冷却へのハードルは高く、妥協なきドリームマシンを組むのでなければ、勧めるより憧れる対象に近い。
数年は1枚で戦いたく、主戦場を1440pに置きつつ4Kの余地も残したいなら、まずは16GB VRAM搭載モデルに的を絞るのがいちばん穏当だ。そのうえでエコシステムを決める。価格性能を重視するならAMDのRX 9070/RX 9070 XT、DLSS 4とMFGを要に据え、追加コストを許容できるならNvidiaのRTX 5070 Ti、という落としどころが見えてくる。
予算に余裕がないが、快適さは手放したくない場合は、可能な限り16GB帯に入るのが王道だ。安定性とDLSSの画質を重視するならRTX 5060 Ti 16GB、価格と“メモリ容量あたりの価値”で選ぶならRX 9060 XT 16GBが堅い。
そして最後に、主に1080pでコストを抑えたいなら、RTX 5060は“使える選択肢”だといえる。ただし明確な留意点がある。8GBはもはや余裕ではなく、重い設定やフレーム生成に臨むなら、手綱を丁寧に握る前提の妥協点だ。