Danny Weber
23:52 05-12-2025
© A. Krivonosov
IDCは2025年の世界スマートフォン出荷を1.5%増の約12.5億台へ上方修正。iPhone17需要でAppleは6.1%増の2.47億台、中国も回復。2026年は0.9%減予測、メモリ不足と値上げ圧力、投入遅延が懸念。平均販売価格は465ドルへ、総市場規模は5,789億ドルで過去最高見込み。中国市場の反転も寄与。
IDCが2025年の世界スマートフォン市場見通しを小幅に上方修正した。出荷台数は前年比1.5%増、約12.5億台に達すると読む。押し上げ役はiPhone 17シリーズへの底堅い需要で、Appleは年末にかけて過去最高級の勢いを保ち、前年比6.1%増、2億4,700万台超を出荷する見立てだ。
なかでも中国の動きが印象的だ。IDCによると、Appleは10〜11月に同国市場をリード。2025年の中国全体の見通しは縮小から約3%の成長へと反転した。ボリュームの回復に伴い売上も伸び、Appleの年間売上高は7.2%増の2,610億ドルを上回ると予測。単一ベンダーが業界全体の主要指標をここまで押し上げるのは珍しく、市場心理にも効く数字だ。
ただ、2026年に入るとムードは変わる見通しだ。IDCは同年のスマートフォン出荷が前年比0.9%減ると予想する。理由は二つ。第一にApple。次世代iPhoneのベースモデル投入が通常の2026年秋から後ろ倒しになり、最長で2027年初頭にずれ込む可能性があるため、iOS搭載機の出荷が約4.2%縮む恐れがある。第二にマス市場の逆風。メモリ部材の世界的な不足が生産を抑え、価格に上押し圧力をかけるという。
この組み合わせはメーカーに難しい選択を迫る。値上げに踏み切るか、エントリー機を絞って高粗利モデルへ軸足を移すかだ。IDCは市場全体の平均販売価格が465ドルに達し、総市場規模は5,789億ドルと過去最高を更新するとみる。台数は目減りしても、消費者の支払い額は高止まりしやすい局面が続きそうだ。