AMDとサムスン、2nm次世代CPU生産で最終交渉へ

Danny Weber

02:54 15-12-2025

© RusPhotoBank

AMDがSamsung FoundryのSF2Pで2nm次世代CPU生産を検討。TSMCのキャパ逼迫を背景に最終交渉中。テスラやアップルの大型契約でサムスンへの信頼が高まり、MPW活用や2026年1月合意目標など最新動向を詳述。TSMC依存からの分散や生産規模拡大、業界最大級受注の可能性と市場への影響も解説。

AMDは、すでに韓国企業と数十億ドル規模の契約を結んだテスラやアップルに続き、Samsung Foundryの次の大口顧客になるかもしれない。韓国メディアによれば、AMDとサムスンは、AMDの次世代CPUに必要となる2nmプロセスでプロセッサを製造する件について、交渉の最終段階に入っているという。

サムスンはこれまで、業界の多くがTSMCに結集するなかで3nmノードへの顧客誘致に苦戦してきた。ただ、この構図は2nm技術の進展で変わりつつあり、複数の主要プレーヤーが安心感を示したとされる。テスラはすでに160億ドル超の契約に署名し、アップルも将来のiPhone向けを含むチップをテキサスの工場でサムスンが生産すると確認した。これらの動きが重なることで、サムスンのロードマップへの信頼が高まっていることがうかがえる。

有力なプロセッサ設計企業であるAMDは自社工場を持たず、従来から外部ファウンドリに依存してきた。世界最大の受託メーカーは依然としてTSMCだが、その生産枠はほぼ埋まりつつあり、最先端ノードで大口案件を受けられる現実的な代替先はサムスンしかない状況だ。そう考えれば、サムスンという選択肢を探るのは理にかなった一手に映る。

リーク情報によると、Samsung Foundryは、同社のSF2P技術を用いてAMDの2nmプロセッサを生産する計画を準備しているという。生産はマルチプロジェクト・ウェハ(複数社のチップを1枚のウェハで共同製造する方式)を通じて進められる可能性があり、新ノードの立ち上げ初期に製造リソースを効率良く使う狙いがある。

関係筋によれば、AMDとサムスンは2026年1月までに合意をまとめることを目指している。合意が成立すれば生産規模は相応に大きくなる見込みで、サムスンにとってはTSMCとの差を技術面でも市場面でも縮める後押しになり得る。台湾の競合のキャパシティが限られるなか、Samsung Foundryは業界最大級の受注を取り込む好機を迎えている。今のところ、追い風はサムスンに吹いている。