Danny Weber
17:08 15-12-2025
© A. Krivonosov
2025年のゲーミングGPUを総点検。RTX 5090、RX 9070 XT、RX 9060 XT、RTX 5070、Arc B580の性能・価格・電力を比較し、1440p/4Kやレイトレーシングの実力、買い時まで分かりやすく解説。DLSS/FSRやXeSSの対応状況、在庫傾向もチェックし、今買うべき一本を提案します。
2025年のゲーミングGPU市場は、ひと味違う展開になった。各社が別々の勝ち筋を選び、NVIDIAは純粋な性能を突き詰め、AMDはメインストリームに注力、Intelは手頃な代替策としての存在感を固めに動いた。供給のつまずきや年初の価格高止まりも影響し、ゲーマーにとっての“おいしい”ゾーンはミドル〜バリュー帯にシフト。Pepelats News編集部が、いま検討に値する注目カードを選び出した。
Blackwell GB202アーキテクチャを採用したGeForce RTX 5090は、今年の最強コンシューマーGPUとして頭ひとつ抜けた存在になった。CUDAコアは21,760基、メモリは512ビットバスのGDDR7を32GB、帯域幅は1,792GB/秒に達する。消費電力は最大575W。実戦では4Kはもちろん、8Kでも自信を持ってこなす余力があり、高度なレイトレーシングに加え、プロ用途やAIワークロードにも適性を示す。その反面、価格は$1,999、店頭在庫は薄く、電力要件も非常に高い。相応の電源や筐体を含む“強い”システムを組める人向けだという現実は見過ごせない。
RDNA 4世代のNavi 48をベースにしたRadeon RX 9070 XTは、メインストリームの看板としてヒットを飛ばした。4,096基のストリームプロセッサ、16GBのGDDR6、256ビットバス、640GB/秒の帯域幅を備え、消費電力は約304W。1080p〜1440pでの性能は優秀で、余裕のあるVRAMとともに、AMDの従来世代よりレイトレーシングの質がはっきり向上したのが強みだ。弱点としては消費電力の高さに加え、パストレーシングではNVIDIAに遅れを取る。ただ、価格と流通のバランスまで含めて見ると、多くのゲーマーにとって最も魅力的な選択肢に落ち着いた印象だ。
予算重視で評価が高かったのがRX 9060 XT 16 GB。RDNA 4のNavi 44を採用し、2,048基のストリームプロセッサ、128ビットのメモリバス、約320GB/秒の帯域幅、消費電力はおよそ160Wという構成だ。1080pでは安定して強く、1440pでも健闘。16GBのVRAMが効いて、設定を攻めても安心感がある。一方でボトルネックはメモリバス幅にあり、高解像度では伸びを阻む。さらに、FSRは画質や対応タイトルの広がりで、依然としてDLSSに及ばない。
ミドルレンジのど真ん中に位置するGeForce RTX 5070は、NVIDIAのソフトウェア基盤を重視するプレイヤーを狙う。CUDAコアは6,144基、GDDR7は12GB(一部モデルは16GB)、192ビットバスで帯域幅は約672GB/秒、消費電力は約250W。1440pで使い勝手がよく、電力効率に優れ、レイトレーシングやDLSS 4の恩恵も大きい。とはいえ、VRAM容量は競合のAMD勢より控えめで、純粋なラスタライズ性能では、ときにRX 9070 XTに後れを取ることもある。価格まで考えると、その差は気になりやすい。
Xe2-HPG Battlemageアーキテクチャを採用したIntel Arc B580は、意外だが意味のある参入となった。12GBのGDDR6、192ビットバス、456GB/秒の帯域幅で、消費電力は190W。1080pを主戦場にしつつ、1440pにも手を伸ばせる余裕があり、価格に対するVRAMの厚みは魅力的だ。最大の壁はドライバーの成熟度と、DLSSやFSRに比べてゲーム対応が限られるXeSSの浸透度。ここが整えば、立ち位置はさらに強まるはずだと感じる。
2025年の勝ち筋は、単なるベンチマークの記録ではなく、価格・仕様・流通のほどよい均衡だった。AMDはメインストリームで存在感を固め、NVIDIAは超ハイエンドとソフトウェア技術で王座を維持。Intelは“手頃な選択肢”としての信頼に向けて、重要な一歩を踏み出したと言える。