Danny Weber
15:07 17-12-2025
© B. Naumkin
GoogleのHealth ConnectがAndroid 16で大幅拡張。医療記録(アレルギー・予防接種・検査結果)や症状、アルコール摂取のログに対応し、権限はカテゴリ単位で管理。設定もシンプルに。歩数計測は標準機能化、ヨガや瞑想も追加。Apple Healthに迫る、Androidのヘルス基盤化の一歩を解説。
GoogleはHealth Connectを着実に進化させ、単なるフィットネスデータの連携ハブから、より広い健康管理基盤へと歩を進めています。インサイダーのMishaal Rahman氏によると、AndroidのCanaryテストビルドの内容から、今後のAndroidでは医療記録や症状の記録、アルコール摂取のログが追加される見通しだといいます。
2022年に登場したHealth Connectの狙いは、Androidに長く付きまとってきた“分散した健康データ”という課題の是正でした。フィットネスアプリはそれぞれが独立して動き、別々の権限を求めるため、全体の把握が煩雑になりがちでした。Health Connectはこうしたデータの糸を1カ所に束ね、ユーザーの同意のもとでアプリ同士が安全に情報を読み書きできるようにしました。立ち上げ時点で、対応するアクティビティやヘルス指標は約40種類に及んでいます。
最新のAndroid 16のビルドからは、Googleが対象領域をさらに広げる意向がうかがえます。アレルギー、予防接種、検査結果などの医療情報をシステムレベルで扱えるようになる予定です。ヨガや瞑想といった新たなアクティビティタイプも加わります。さらにAndroid 16 QPR2では、歩数計測が標準機能としてすでに実装されており、サードパーティアプリに頼らずGoogleが直接ヘルスデータを収集するのはこれが初めてです。
注目の追加要素の一つがアルコール摂取の記録で、症状のカタログも大きく広がります。痛みの種類に加え、消化、呼吸、睡眠、心血管に関する不調も記録できるようになります。こうした拡充を重ねることで、Health Connectは“フィットネスの中継役”から、より一元的な健康記録に近づいていく印象です。
インターフェースもシンプルになります。今後のAndroidでは、設定画面に接続済みアプリが最初に表示され、権限は個々の項目ではなくデータのカテゴリ単位で管理されます。実際には、散らばっていた画面やナビゲーションを一つの見通しのよいコントロールパネルに畳み込むということ。小さな変更に見えて、日々の使い勝手を左右する重要な手当てです。
それでも現時点では、主導権はApple Healthにあります。10年以上にわたりiPhoneの標準アプリとして存在し、Apple Watchや医療機関、保険会社との連携が深く根付いているからです。それでもHealth Connectの拡張は、Googleが差を詰め、Androidを本格的なヘルスプラットフォームとして位置づける覚悟を固めていることを示している——そんな流れが見て取れます。