Danny Weber
11:45 18-12-2025
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世界8,808拠点の分析で約7,000のデータセンターがASHRAE推奨18〜27度の範囲外。寒冷地の結露や高温地の冷却コスト、IEAの電力需要予測、生成AI拡大と立地判断の現実を解説。2030年に消費倍増の可能性、2040年は高温が2/3に影響。アジア太平洋・中東、政策とデータローカライゼーションも論じる。
新たな分析によれば、世界で稼働中のデータセンター8,808拠点のうち、約7,000拠点が推奨される運用環境の範囲外の気候帯に位置しているという。Rest of Worldは、複数年の気候記録と、効率的な運用のためサーバー吸気温を18〜27度に保つよう助言するASHRAEの指針を突き合わせ、各施設の所在地を検証した。
結果は、推奨温度域から外れる施設が圧倒的多数であることを示した。多くは寒冷地にあり、過熱の懸念は小さいものの、湿度や結露に伴うリスクが高まる。平均気温が27度を超える地域で稼働する拠点は約600カ所にとどまり、全体の1割未満。そこでは冷却が常時の、しかも高コストの課題になる。また21カ国では、運用中のデータセンターがすべてASHRAEの基準で過熱と判定されるゾーンにある。
建設地の選定では、気候よりも経済・政治・インフラの現実が優先されつつある——業界の専門家はそう見ている。データのローカライゼーション規制、クラウドや生成AIの拡大、電力と水へのアクセス、地価や税優遇といった要因が、必ずしも最適とは言えない場所でも着工を後押しする。要するに、立地の舵を握っているのは温度計ではなく、政策と損益の計算だというわけだ。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2024年にデータセンターが消費した電力は約415テラワット時で、世界全体の需要の約1.5%を占める。2030年までにこの数値は倍増以上になる可能性があるという。地球温暖化が進むなか、アナリストは、2040年までに過酷な高温が最大規模のデータセンターの3分の2に深刻な影響を及ぼし得ると警鐘を鳴らす。特にアジア太平洋と中東の曝露度が高い。伸びを見込む産業が、寛容さを失いつつある気候と正面から向き合わざるを得ない——そんな局面に入っている。