インテル、ASMLのHigh-NA EUVスキャナEXE:5200Bを正式稼働—Intel 14A開発に投入

Danny Weber

13:09 18-12-2025

© A. Krivonosov

インテルがASMLのHigh-NA EUV露光装置EXE:5200Bを稼働。開口数0.55で8nm解像度、毎時175枚、オーバーレイ0.7nmを実現し、Intel 14Aでマルチパターニング削減とスループット向上へ。熱安定化と振動抑制で運転時のドリフト抑制、再較正の中断を最小化。設計ルール簡素化とサイクル短縮に寄与。

インテルは、業界初の商用ハイNA(High-NA)EUV露光装置「ASML Twinscan EXE:5200B」を正式に稼働させた。新型スキャナは初期テストを完了しており、重要層に高開口数EUVを適用する世界初のノードとなる見込みの「Intel 14A」プロセスの開発に用いられる。節目と言っていい導入だ。

このEXE:5200Bは、インテルが2023年にオレゴンの研究拠点向けに受け取ったEXE:5000プラットフォームを基盤に、性能を着実に引き上げたモデルだ。開口数0.55により最大8nmの解像度を実現し、従来のEUVスキャナ(一般的に約13nm)でしばしば必要だった複雑なマルチパターニングを省ける。

スループット面では、露光量50 mJ/cm²の条件で毎時最大175枚のウエハー処理に対応し、オーバーレイ精度は0.7nmを達成する。素子寸法がサブナノの領域へ踏み込む中、わずかな位置ずれが歩留まりに直結することを思えば、この数値の意味は重い。

こうした性能目標に向け、ASMLとインテルはEUV光源を強化し、主要サブシステムを見直した。特にウエハーの搬送と保管を担うアーキテクチャを刷新し、熱環境を安定させつつ、機械的・熱的な振動を抑え込んでいる。実運用では長時間の連続稼働でもパラメータのドリフトを抑制し、再較正の中断を減らせる設計だ。

インテルによれば、High-NA EUVの導入は設計ルールの簡素化、リソグラフィ工程とマスク枚数の削減、製造サイクルの短縮、そして14A以降のプロセスでのスループット向上につながる見通しだ。同時に、同社は新しいリソグラフィの効果を最大化するため、フォトマスク、エッチング、解像度向上手法、計測(メトロロジー)の最適化も進めている。

総合的に見れば、Twinscan EXE:5200Bの立ち上げは、High-NA EUVが試験的な装置から本格量産のステージへ移りつつあることを示すサインだ。半導体の技術的リーダーシップを取り戻すというインテルの戦略においても、要となり得る一手である。