HonorのRobot Phoneとは？機械式カメラでDJI基準に挑む次世代スマホ

Honorが準備しているのは、Robot Phoneという一風変わったスマートフォンだ。従来のモバイル市場の枠を越え、DJIのようなプレイヤーへの挑戦状にもなり得る。中国で開かれたHonor User Carnivalでは、すでに動作するプロトタイプが披露された。一見するとごく普通のスマホだが、実は外観の内側に決定的な仕掛けがある。可動式アームを備えた機械式カメラモジュールが、端末自身の判断で位置を変えられるのだ。

Honorの発言をたどると、Robot Phoneが単発の試みにとどまらないことは明白だ。ある幹部は、約1年にわたり取り組んできた極めて重要なプロジェクトが大詰めを迎えていると語り、来年の動画機能は競合を大きく引き離し得ると示唆した。とりわけ注目を集めたのは、モバイル映像の物差しとしてDJIの名をはっきり挙げた点。口ぶりからは、単なる構想ではなく実行に踏み込む意思がにじむ。

スマホ動画の基準は長らくAppleだ、という声がユーザーから出ると、Luo氏は、モバイル動画の本当の参照軸はDJIであり、Honorはそこに挑むのだと明確に述べた。スマートフォンブランドとしては珍しい構えで、同社の野心の大きさを際立たせる。選ぶ物差しが違うと宣言した格好だ。

こうした発言をRobot Phoneそのものと結びつける見方は多い。内蔵の機械式カメラモジュールは、DJI製品を支持する要素――物理的な手ぶれ抑制、滑らかなカメラ移動、被写体の知的追尾、よりシネマライクな画づくり――をスマホに持ち込む試みかもしれない。ソフトウェアだけの手ぶれ補正と比べれば、映像の制御は一段違う可能性がある。撮影後に揺れを直す発想から、撮っている最中の動きを積極的に導く方向へと重心が移るからだ。もし実現すれば、スマホ撮影の作法そのものをそっと更新してくるだろう。

Robot Phoneは2026年にバルセロナで正式発表される見込みだ。端末はスマートフォンとパーソナルカメラのハイブリッドとして位置づけられ、AI機能とスマートなメカニズム、強力な画像処理を組み合わせることで、スマホを受動的なガジェットから能動的な撮影ツールへと変えることを狙う。モバイルの定義を押し広げる試みとして、その船出に視線が集まりそうだ。