FCCがUASと主要部品をカバード・リストに追加、海外製ドローンの輸入を事実上禁止

Danny Weber

09:51 24-12-2025

© A. Krivonosov

FCCはUASと主要部品をカバード・リストに追加し、海外製ドローンの新規モデルを事実上輸入禁止。既存機や承認済み販売は継続可。DJIへの影響、例外運用、国家安全保障と国内生産・供給網の狙いを解説。国防総省や国土安全保障省が限定的認可を行う可能性や、根拠データ非公開をめぐる論争、自由競争と保護主義のせめぎ合いにも触れる。

米連邦通信委員会(FCC)は、海外製の無人航空機システム(UAS)とその主要部品を「カバード・リスト」に追加し、事実上、米国内への輸入を禁じた。公示文では、複数の安全保障機関の評価を踏まえ、こうしたドローンや部品が国家安全保障に受け入れ難いリスクをもたらすと指摘している。

FCCは、UASおよび重要部品は米国内で製造されるべきだと明言。国内生産への軸足を強め、新たな海外製モデルの流入経路を意図的に絞り込む動きだ。政策の輪郭からは、サプライチェーンを内側に引き寄せたい思惑がにじむ。

FCCのブレンダン・カー氏は、この制限が新規のドローンモデルにのみ適用されると説明した。既存の機体は運用を継続でき、小売店も既に承認済みのモデルであれば販売を続けられる。この新規則は、過去に購入済みのドローンには及ばないという。さらに、国防総省や国土安全保障省が、特定モデルや部品の区分に限って販売を認める可能性にも言及した。任務に基づく現場の必要に応じ、例外を残す設計だと受け止められる。

通知は特定メーカーに言及していないものの、今回の措置が最も響くのは中国のDJI製品だとFCCは示唆した。名指しの回避は、誰に影響が大きいのかという業界の観測を抑える材料にはならなさそうだ。

DJIの広報担当者はEngadgetに対し、通知に同社名は挙がっていない一方で、行政府が今回の決定に至る際にどのようなデータを用いたのかについての情報は公表されなかったと説明した。

同社はまた、米政府機関や独立した第三者による長年の調査を根拠に、自社製品は市場で最も安全かつ信頼性の高いものの一つだとの立場を示した。DJIに関するデータセキュリティ上の懸念には裏づけがなく、むしろ自由競争の原則に反する保護主義的な姿勢が反映されている、とも主張している。根拠となる情報が公開されないままである限り、リスク評価と保護主義をめぐる応酬は当面続きそうだ。