サムスン、インドでスマートフォン用ディスプレー生産拡大へ PLI活用とノイダ工場拡張で供給力強化

Danny Weber

02:24 25-12-2025

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サムスンがインドでスマートフォン用ディスプレー生産を拡大。PLI制度を活用しノイダ工場を増強、主要部品の国産化と供給力を強化。アップルとの競争や輸出拡大、Android中心の市場動向も解説。半導体サプライヤーとの連携方針やベトナム拠点の位置付け、2025年売上・輸出比率、長期戦略の狙いまでをわかりやすく紹介。

サムスンは、スマートフォン用ディスプレーの生産を拡大し、インドでの製造プレゼンスを一段と強める方針だ。この目的で、電子機器や部品の現地生産に税優遇などを付与するインドの生産連動型優遇(PLI)制度への参加を申請した。国内でバリューチェーンを厚くするという、長期志向の賭けを鮮明にする動きでもある。

エコノミック・タイムズによると、同社はインドの拠点で、ディスプレーパネルを含むスマートフォンと主要部品の生産を増やす計画だ。スマホ組立に対する税優遇の延長はすでに確保しており、ノイダ工場での画面生産の拡張についても認可を求めている。同工場は、中国から一部能力を移したのち、2021年にディスプレーの生産を開始。デバイス全体の製造を後押しするうえで、そこでの増産は筋の通った次の一手と言える。

南西アジア地域プレジデント兼CEOのJ. B. Park氏は、品質と価格で競争力があることを条件に、インドの半導体サプライヤーとの連携に前向きだと示した。また、ベトナムの既存能力を移す計画はなく、インドでの新設分は伸びる需要に対応するために充てると述べている。市場間で生産を入れ替えるのではなく、能力を積み増す拡大型の戦略を取るというわけだ。

プレミアム帯ではアップルとの競争が激しくなるなかでも、サムスンの足場はインドで揺らいでいない。同国のスマートフォン市場の9割超はいまもAndroidが占める。2025年には、インドにおけるサムスンの売上高が110億ドルを超え、国内生産機器の輸出が約42%を占めた。売上の約7割はスマートフォンで、残りは家電などその他デバイスが担う。こうした内訳を踏まえると、ディスプレーの生産能力を増やす意味合いは、同社のインド事業全体でいっそう大きい。