Danny Weber
イーロン・マスクが初公開したテラファブ計画は、半導体製造を一貫化し総額1190億ドルに達する巨大プロジェクト。テスラ拠点隣接地に建設予定で、インテルや最先端ノードへの関与が注目。サプライチェーン課題を克服できるか、世界が注視する。
イーロン・マスクが初めて明かした野心的なプロジェクト「テラファブ」は、半導体史上でも最高額の投資案件となる可能性がある。テキサス州の裁判所での公聴会によれば、初期段階で550億ドル、本格稼働まで見据えると総額1190億ドルに達する見込みだ。
建設予定地はテスラのオースティン拠点に隣接するエリア。設計の核心は、チップ製造の全行程を一箇所に集約することにある。従来は工程ごとに企業や国をまたいで分散するモデルが一般的だったが、テラファブは論理回路やメモリの製造から、パッケージング、テスト、さらにはフォトマスク生産までを自前でカバーする。
これにより、チップ開発は格段に加速する。エンジニアは設計の試行錯誤をより迅速に行え、各工程間の長い待ち時間が解消される。事実上、連続的な製造と試作を可能にする動きだ。
だが、そのコストは驚異的だ。参考までに、サブ3nmプロセス向けの最新工場1棟でも200億ドルを超える。それでも全体の一部に過ぎない。テラファブは全行程を対象にするため、予算はその数倍に膨れ上がる。
インテルの関与が取り沙汰される中、テスラ自身もAI向けチップの最初の大口顧客として注目されている。ただし、どの先進ノードが採用されるかを含め、提携の詳細は明らかになっていない。
潤沢な資金を背景にしても、壁は高い。この種の施設をゼロから建設するには、時間とともに、極めて重要な製造装置へのアクセスが必要だ。ASML、ラムリサーチ、KLAコーポレーション、東京エレクトロンといったサプライヤーに依存することになるが、これらの企業の受注残は数年先まで埋まっている。
その結果、スケジュールを加速させたとしても、こうした複合施設の立ち上げには月単位ではなく年単位の時間がかかる。テラファブはチップ製造の根本的な再定義を目指す試みだが、成功の鍵は資金調達だけではない——極めて複雑なグローバルサプライチェーンの構築にかかっていると言える。
© D. Novikov