サムスン電子が、次世代垂直フラッシュメモリとなる900層V-NANDの試作品を開発したと、業界メディアや情報筋(Ice Universe)が報じている。正式に確認されれば、NANDメモリ業界が長年目標としてきた1000層の大台に向けた大きな突破口となる。
この試作品は、単一のダイに層を単純に積み上げるのではなく、CMB(Cell-on-Cell、多層ボンディング)技術を用いて450層のブロックを2つ重ね合わせた構造とされる。この方式により、層数と記憶密度を高めつつ、垂直方向の積層拡大に伴う技術的課題の一部を回避できるという。
サーバーやAIインフラ、PC、モバイル端末でのストレージ需要が高まる中、今回の成果はサムスンにとって特に重要だ。同社は既に第9世代V-NANDを製品化しており、2024年には1テラビットのTLC V-NAND、続いてAI向けQLC V-NANDの量産を発表している。
ただし、900層の試作品が直ちに市販SSDに搭載されるわけではない。研究開発から量産に至るまでには、歩留まりやコスト、信頼性、消費電力、将来のコントローラーとの互換性など、多くの課題が残る。それでも、今回の構造検証に成功したことは、サムスンがダイサイズをあまり大きくすることなく容量を大幅に引き上げる道筋を追求し続けている証拠と言える。
この技術が量産に至れば、コンシューマー向けからデータセンター向けエンタープライズSSDに至るまで、さらに大容量の製品を実現する基盤となるだろう。SKハイニックスやマイクロン、YMTCなどとの競争を背景に、サムスンはNAND分野でのリーダーシップを維持するだけでなく、次世代の超高密度フラッシュメモリをいち早く現実のものとする姿勢を示す必要がある。