Tachyumの2nm Prodigyが仕様刷新:AI/HPCで性能飛躍、最大1024コア

Tachyumは、汎用プロセッサ市場をひっくり返すと数年にわたり唱えてきた企業だが、2nmプロセスで設計する次期チップ「Prodigy」の刷新された仕様を公開した。依然として実製品は市場に出ていないものの、今回の主張は控えめとは言い難い。

開発陣によれば、2nm版ProdigyはAIワークロードで1,000 PFLOPSの壁を初めて越えるという。新世代は整数演算で5倍、AI処理で最大16倍の向上をうたう。現行の選択肢との比較では、AIタスクで最速のx86 CPUの3倍、HPC領域では最速のGPGPUの6倍の性能に達するとしており、もし数値が実機で裏付けられれば、計算向けシリコンの常識が一気に書き換わる。

設計方針も大ぶりだ。フル構成の2nm Prodigyは256コアを統合し、サーバーはこうしたダイを複数組み合わせて構成する。ラインアップは3階層に分かれる。

Prodigy Ultimate

最大768〜1024コアと24チャネルのDDR5を備え、最上位は6.0GHzに到達する。

Prodigy Premium

256〜512コア、16チャネルのDDR5を搭載し、16ダイ構成に対応する。

Entry‑level Prodigy

最大128コアを提供し、DDR5は4または8チャネルを選べる。

最も挑発的なのはNVIDIAのサーバープラットフォームへの対抗心だ。同社の社内試算では、Prodigy PremiumベースのシステムはAI性能でNVIDIAのVera Rubin NVL144を約26倍上回り、Prodigy Ultimate構成はRubin NVL576に対しておよそ22倍速いと見積もる。もしその通りなら勢力図は大幅に揺らぐ。だが、こうした差は机上では大きく見えても、実機で再現されるかどうかが肝心だ。

Tachyumは、直近の2億2,000万ドルの投資で最終量産に向けてプロジェクトが前進し、試作に向けたテープアウトへ近づいていると説明する。示された青写真の一部でも実現できれば、ハイパフォーマンス計算にとって久々の大突破となり得る。一方で、シリコンが出荷されるまでは期待値を控えめに保つのが賢明だろう。