ロールス・ロイス「ゴースト ゲーマー」発表:8ビットの遊び心とV12を備えたレトロゲーム特別仕様

SPEEDMEによると、ロールス・ロイスはレトロゲームを愛する富裕なオーナーのための一台、ゴースト・ゲーマーを公開した。8ビットのゲーム機時代を思わせる装いで、同社のプロジェクトの中でも指折りの異色作に数えられそうだ。

外装はサラマンカ・ブルーとダイヤモンド・ブラックのツートン。主役は手描きのコーチラインで、“Cheeky Alien”のピクセルイラストと、スタイライズされた8ビットの爆発が描かれている。3×3mmの極小ピクセル89個で構成され、任天堂とセガの全盛期に真正面から敬意を捧げる意匠だ。

ロールス・ロイス ゴースト ゲーマー
© Rolls-Royce

キャビンでもこのテーマは一段と鮮明だ。発光式のスカッフプレートは、ドアを開けたオーナーを「Level Up」「Press Start」「Insert Coin」のメッセージで迎える。シートにはピクセル調の「Player 1~4」表示。折りたたみ式テーブルには同じエイリアンを描いた金属プレートが収まり、シート間のセンターパネルには往年のSpace Invadersを思わせる宇宙船が加えられた。遊び心はあっても悪ノリにはならず、ファンの郷愁を精緻なクラフツマンシップで磨き上げた印象だ。

ブランドの代名詞であるスターライト・ヘッドライナー(いわゆる「星空の天井」)も大胆にアレンジ。ゴースト・ゲーマーではキャビン上空が宇宙戦のアリーナへと変貌する。80本の光ファイバー製「クルーザー」が、専用開発のファームウェアによりレーザーの発射を演出する仕掛けで、象徴的な装備を物語性のあるディテールへと巧みに変えている。

ロールス・ロイス ゴースト ゲーマー
© Rolls-Royce

パワートレインは手を加えていない。広々としたボンネットの下には6.75リッターV12が収まり、591hpと900Nmを発生する。つまりゴースト・ゲーマーは、コレクタブルなアートピースであると同時に、本格派のウルトララグジュアリーセダンでもある。余裕のある出力が、単なる見せ物という印象から遠ざけてくれる。