Xiaomi EVのHAD Enhanced Edition:強化学習で進化する運転支援と安全性

Xiaomi EVが運転支援システムの大型アップデートを公開した。新リリース「HAD Enhanced Edition」は強化学習アルゴリズムを取り入れ、自動化の段を一段引き上げる。同社によれば、このシステムは交通状況への反応にとどまらず、その先の展開まで見越して振る舞えるようになった。熟練ドライバーに近い読みを目指すという。真のエンドツーエンド構成への一歩であり、この方向性はいま中国勢の多くが追っている。Xiaomiは、人の運転感覚にできるだけ近づける設計だと強調する。狙いは明快だ。機械らしさを薄め、より自然な挙動へ。

この飛躍を支えるのは、実走行のログ1,000万件を学習に用いた大規模データ基盤だ。同社は、自社技術がすでに国際舞台でも成果を出していると指摘する。ViSEアルゴリズムはICCV 2025でプロ部門のチャンピオンとなり、生成モデルGenesisに関する論文は分野の主要会議の一つであるNeurIPSに採択された。製品の主張を単なる宣伝ではなく、同業の評価に裏打ちされたものとして定着させたい——そんな意図が透けて見える。

結論は道路の安全性に返ってくる。HAD Enhanced EditionはAEB(自動緊急ブレーキ)の性能を高め、より鋭く正確な減速を可能にした。目玉はAES(自動緊急ステアリング)だ。猶予がわずかな場面で、クルマはブレーキに加えてステアリング操作で衝突回避を図れる。同時にXiaomiは、あくまで支援機能であり、ドライバーは手をハンドルに、視線を前方に保つ必要があると強調する。この但し書きは重要だ。置き換えるのではなく、注意力を支える設計だからだ。

2025年、同社は自動運転関連の研究開発に70億元超を投じる計画だ。専任チームはすでに1,800人体制、博士号取得者は108人にのぼる。Xiaomiの自動車プロジェクトで過去最大級の挑戦と言っていい。自社集計でも手応えはあるとしている。運転支援によって未然に回避できた潜在的事故シナリオは約50万件に迫り、EVオーナーの9割超がHADを日常的に使っているという。ここまでの浸透度を見る限り、機能が宝の持ち腐れになる場面は少なそうだ。