GoogleがAI気象モデルWeatherNext 2を公開、15日先を1分未満で高速・高精度に予測

Googleは、気象予測の精度と更新スピードを大幅に引き上げたAIモデル「WeatherNext 2」を発表した。新システムはPixel Weather、Google Search、Geminiアプリ、Google Mapsの天気情報の基盤となる。エコシステム全体で予報の標準をAIへ切り替えるという、同社の明確な狙いがうかがえる。

同社によれば、WeatherNext 2は従来モデル比で予報生成が8倍高速化。最大15日先までを対象に、6時間ごとに4回の更新を行うという。さらに、温度、降水、気圧、風、湿度といった気象変数の99%にわたり、初代のWeatherNext 1を精度で上回った。紙の上でも、2世代目としては見逃せない伸びだ。

今回の肝は、初代で採用していたGNNや拡散モデルから、Functional Generative Network(FGN)アーキテクチャへの転換だ。GoogleのTPU(ASIC)を活用することで、フルの予報を1分未満で生成できる。スーパーコンピュータ上で走る同等の物理ベースモデルが約1時間を要することを考えると、この差は同社がデータ駆動型の手法へ軸足を移す理由を物語っている。

Googleは、天気を表示する自社サービスすべてにWeatherNext 2を展開する計画だ。今後数週間で、まずGoogle Mapsの予報が新システムによるものに切り替わり始める。Pixel Weather、Gemini、Google Searchのユーザーも、順次、精度の向上と数値の安定性が見られるようになる。段階的なロールアウトからは、スケールさせながら信頼性を優先する姿勢がにじむ。

WeatherNext 2は、スーパーコンピュータで物理方程式を解くことなく、相互に関連する気象変数を解析する。AIが巨大なデータセットから繰り返し現れるパターンを捉えるかたちだ。その結果、約1分で15日先までの見通しを出せるうえ、必要に応じて何千通りもの異なるシナリオを生成できる。