AIラベルは必要か?Epic CEOスウィーニー発言とValveの方針、業界の賛否

Epic GamesのCEO、ティム・スウィーニーが、ゲーム業界におけるAIの使い方と表示のあり方をめぐる議論に再び火をつけた。ストアで「AIで作られた」とタグ付けするのは意味が薄いという彼の発言は強い批判を呼んだが、実際には一見よりも含みのある指摘だった。

きっかけは、各プラットフォームが「AI製」のラベルから距離を取り始めている動きだ。スウィーニーは、今後ほとんどのゲーム制作にAIが関与する以上、その種のタグは無力化すると主張。さらに、ValveがSteamで開発者にAIの使用申告を求めていることを念頭に置いているとも示唆した。

問題が大きく浮上したのは、Arc RaidersやThe Finalsでの事例だ。いずれも俳優の声を元に生成AIでボイスオーバーを作成したことが反発を招いた。一方で、どこまでがAIなのかという境界は曖昧だ。たとえばArc Raidersでは、アニメーションチームが主に遷移を滑らかにするための補助ツールとしてAIを使っており、コンテンツを「作る」よりも「整える」役割に近かった。議論が過熱しがちなのは、まさにこうしたニュアンスの部分である。

Valve

Valveはより透明なアプローチを取っている。2024年1月以降、開発者はAIの使用有無を明示し、事前に生成したコンテンツか、リアルタイム生成かを区別して申告しなければならない。申告の一部はストアページにも表示され、プレイヤーが自ら判断できるようにしている。2025年7月のSteamの調査によれば、およそ7%のプロジェクトが生成AIの使用をすでに明記していた。

スウィーニーの発言はさまざまに解釈された。オンラインでは、ボイスやアート、技術的な補助のいずれに使っていようと、ラベリング自体をやめるべきだという呼びかけだと受け取る向きもあった。根本にあるのは、AIという語があまりに広範になったことだ。画像や音声の生成からコーディング支援、音楽家がサウンドトラック制作で頼る日常的なオーディオシミュレーターまで一括りにされ、補助と著作の線引きがますます難しくなっている。その曖昧さが不安を増幅させ、単一のタグでは解けないという感覚が広がっている。

業界の反応

反発はすぐに表面化した。元Counter-StrikeアーティストのAyi Sanchezは、ラベルを外すことを「商品の原材料を隠す行為」に例えた。作曲家のJoris de Manは、トレーラーで「実際のゲームプレイではありません」といった注意書きを義務づけてきた前例を指摘。インディー開発者のMike Bithellは、スウィーニーがAIを支持するなら、ラベルを堂々と掲げ、その結果として売上が下がることも受け止めるべきだと述べた。行間にあるメッセージは明快だ。透明性は信頼の前提である。

支持も浮上

擁護の声もあった。議論の発端となった投稿の筆者であるMatt Workmanは、Steamの方針は過度に広すぎると主張する。論理を突き詰めれば、Unreal Engine、Google Suite、Slack、Adobe、Microsoft Officeなど、AI機能が既定で組み込まれている製品を使うほぼすべての開発者が対象になってしまうからだ。あらゆるものにAIが含まれるなら、ひと括りのラベルは意味を薄めかねない――そんな指摘には確かに理がある。

AIと透明性をめぐるゲーム開発の議論は、着地点が見えない。スウィーニーの発言は、境界線をきれいに引くことの難しさ、そして「AIで作られたゲーム」という概念そのものの争点化を浮き彫りにした。業界に足りないのは、区別を共有できる言葉だ。合意された語彙が整うまでは、どんなラベルも大雑把すぎるか、あるいは一歩遅れてしまうだろう。