PS5/PS5 Slimの冷却が進化:PS5 Pro同系の改良液体金属TIMを新ロットに採用

ソニーはスタンダード版のPS5とPS5 Slimに、静かだが意味のあるハードウェアの手直しを展開し始めた。両機種に、PS5 Proと同系統の改良型液体金属サーマルインターフェースを採用し、漏れのリスクを抑えつつ冷却効率を高める狙いだ。大々的に語られる類のアップデートではないが、使い続けるほど価値がわかる手堅いブラッシュアップだ。

もともと液体金属の採用は、熱伝達を高めるためのもの。ただ、実際には塗布ムラに敏感で、メンテナンスも難しかった。SoCダイ周辺に小さなバリアを設けていたにもかかわらず、初期の個体(PS5やPS5 Slimを含む)では液体金属がにじみ出るケースがあり、過熱や最悪の場合はハードウェア故障につながりかねなかった。

この課題に正面から対処したのがPS5 Proだ。APU周りにより深い溝を刻み、液体金属の塗布パターンも見直すことで、漏れの可能性を大幅に下げた。その手法が、いま標準PS5の新ロットにも取り入れられている。

愛好家のModyfikator89によれば、この改良はCFI-2100とCFI-2200の各モデルで確認できるという。TIM(サーマルインターフェース材)の塗布エリアに特有のラインや切り欠きが見て取れれば、それが目印。表面がつるりと滑らかなままなら、まだ改修前のリビジョンだと判断できる。

とはいえ、手元のPS5が冷却面で安定しているなら、旧ロットの所有者が過度に心配する必要はない。万一トラブルが出ても、液体金属の交換を自己流で試すのは禁物。高度な経験を要する繊細な作業のため、専門のサービス窓口に任せるのが賢明だ。

これから購入を考えるなら、すでに改良版の冷却設計を備えるCFI-2116 B01Yをチェックしておきたい。