DJI Osmo Action 6ファーストインプレッション:正方センサー、可変絞り、4K/120の実力
DJI Osmo Action 6を実機テスト。正方形1/1.1型センサーとf/2.0–f/4.0の可変絞り、4K/120fps、RockSteady 3.0などの手ブレ補正、内蔵64GBとWi‑Fi 6を中心に使い勝手と画質を詳しく解説。防水20mや最長240分の駆動、発売情報もチェック。
DJI Osmo Action 6を実機テスト。正方形1/1.1型センサーとf/2.0–f/4.0の可変絞り、4K/120fps、RockSteady 3.0などの手ブレ補正、内蔵64GBとWi‑Fi 6を中心に使い勝手と画質を詳しく解説。防水20mや最長240分の駆動、発売情報もチェック。
© A. Krivonosov
DJI Osmo Action 6は、ただ速くてシャープなだけのアクションカメラではない。2025年の撮影習慣に合わせ、きょうはYouTube向けの横画面、あしたは縦クリップ、そのままスマホに渡してサッと切って投稿まで行ける――そんな使い勝手を狙っていると感じる。Pepelac Newsはこの新世代の初期個体を入手し、ひと足早く印象をまとめた。
Osmo Action 6の肝は、センサーと光学の組み合わせだ。DJIは新しい正方形の1/1.1型CMOSセンサーを採用。正方形という発想には理由がある。ひとつの素材を16:9と縦の9:16の両方に転用しても、編集でピクセルの取り合いになりにくいからだ。実際には画面の周辺に余裕が生まれる感覚で、手ブレ補正の負担は減り、クロップの選択肢は増え、行き当たりばったりに撮って後でスマホで物語を組む人ほど楽になる。

相棒となるのは155°の画角を持つレンズで、アクションカメラとしては珍しくf/2.0〜f/4.0の可変絞りを備える。これは効くアップグレードだと感じる。アクションカムが突き当たる壁は解像度ではなく、光量や画づくりであることが多いからだ。薄暮や曇天では絞りを開け、日中は絞って露出を整え、NDフィルターに頼り切らずに被写界深度も扱いやすくする。この調整式の絞りは、本機の看板アイデアのひとつと言ってよさそうだ。
動画については、DJIは実利重視の路線だ。むやみに8Kを追うのではなく、4Kと高フレームレートにフォーカス。仕様は4Kで最大120fpsに対応し、16:9、4:3、縦の9:16の各フォーマットに加え、さまざまなプラットフォームに切り出しやすい正方形の4K Custom(3840×3840)も用意される。まずは撮っておき、旅やアクション、自撮りを押さえた素材を、家で長尺にするのか20秒の短尺にするのか決める——この方向性は的を射ている。最大ビットレートは120 Mbit/s、コーデックはMP4(HEVC)。編集フローは現代的で、ファイルサイズのバランスも納得感がある。

手ブレ補正は従来からOsmo Actionの持ち味で、第6世代ではRockSteady 3.0/3.0+、HorizonBalancing、HorizonSteadyに対応(モードやフレームレートに応じた制約あり)。これはスポーツで効いてくる。水平を維持し、段差でも絵を破綻させないカメラは、編集の時間を大きく節約し、撮って出しの素材をそのまま公開可能なレベルに引き上げる。もっとも、実地の結論はあえて保留にしておきたい——今は雪もアスファルトも万全とは言えない。とはいえ、複数の補正モードとfpsの上限が示されている時点で選択肢は見えてくる。最大限の滑らかさを取るか、最大限のスローモーションを取るか、現場での判断が肝になる。
ハードウェア面の仕上がりは大人びた印象だ。149gという重量とコンパクトな寸法はアクションカムの文法に収まりつつ、ハウジングなしで20m、防水ケース使用で最大60mの耐水に対応。OLEDは前面1.46インチと背面2.5インチの2枚構成で、背面は公称で最大1,000ニットの明るさ。ヘルメットに付けて忘れるだけの装置ではなく、直射日光下でもフレーミングや設定をひと目で確認できる前提で作られている。

ストレージの考え方はうれしいサプライズだ。内蔵64GBで、実際に使えるのは約50GB。さらに最大1TBのmicroSDに対応する。カードなしで撮り始めたい人にも、長時間・高頻度で回す人にも便利だ。無線はWi‑Fi 6とBluetooth 5.1を搭載。スマホへの転送はキビキビ動き、アクセサリーとの接続も安定が見込める。音声は3つのマイクで収録。日常の会話が聞き取りやすくなり、風切り音も抑えられることに期待が持てるが、高速域でどう踏ん張るかは路上で確かめたい。
公称のバッテリーライフは大胆だ。特定条件(1080p/24fps、手ブレ補正オン、画面と無線オフ)で最長240分。ラボの数字を実地に翻訳すると、4時間連続を保証するというより、余裕を確保した設計と読むのが妥当だろう。それでも、持久力を優先した姿勢は伝わってくる。いちばん盛り上がる瞬間に充電を求められないカメラであってほしい。
市場の文脈も押さえておきたい。中国ではプレミア直後に販売が始まり、今回の個体も数日後に現地で購入している。公式サイトでは、カメラとバッテリー、保護ケースを含む基本キットが3,000元から。ほかの国での展開は未定で、DJIは詳細をまだ明らかにしていない。
予想どおり、アクセサリー構成が異なる複数のバンドルも用意されている。追加フィルターやバッテリー、水中ハウジングから各種マウントまで幅広くそろう。

初対面の感触をまとめるとこうだ。Osmo Action 6は、年に一度のバカンス用おもちゃではなく、毎日使う道具を目指している。正方センサーがもたらすフレーミングの柔軟性、可変絞りによる光のコントロール、そして4K/120を見せ技ではなくアクションの主力として据えた実用的なモード設計。その真価が見えてくるのは走行シーズンだろう。強い振動での補正の粘り、木漏れ日が落ちる路面での露出の安定、ヘルメット内での声の聞こえ方、頻繁なスタートを挟む連続撮影でのバッテリーの持ち。路面が乾くころには答えが出るはずだが、現時点では筋が通った力強い一歩に映る。