Caligra c100 Developer Terminalの全貌: 仕様、Workbench、価格

Caligraはc100 Developer Terminalを発表した。制作を消費よりも優先し、集中して働く感覚を取り戻すことを掲げる、上級ユーザー向けのひと味違うコンピューターだ。ロンドン拠点の同社はサンフランシスコ湾岸エリアのイベントでこのデバイスを披露。来場者の前に現れたのは、マット仕上げの金属筐体に収まるコンパクトな楔形マシンで、レトロなデザインへの敬意をにじませながらも、仕立ては現代のワークステーション級。意図的な“回帰”といまの製造品質が同居する、そんな佇まいだ。

内部には8コア16スレッドのAMD Ryzen 9 7940HSを搭載し、ベースクロックは4.0GHz、ブーストは最大5.2GHz。構成はDDR5メモリ96GBと1TBのM.2ドライブとされている。統合キーボードは打鍵感のある薄型メカニカルスイッチを採用し、長時間の執筆やコーディングを見据えた設計であることが伝わってくる。

Caligraがとりわけ力を入れるのが、Workbenchと呼ぶシステムだ。LinuxベースのOSをあえて抑制的に設計し、ユーザーがやるべき作業に集中できるようにしたという。同社は、余計な気を散らす要素をそぎ落とし、深い思考に向いた環境を整えたと説明する。押しつけがましいサービスやクラウド要素などで賑やかになりがちな現代OSへの対抗軸として、その控えめさはむしろ大胆に映る。

技術的には、Workbenchはrpmベースのコアに依拠し、オープン/商用両方のリポジトリからコンテナやパッケージを扱うための土台として設計されている。同社によれば、rootユーザーはFedoraのパッケージを追加でき、distroboxのようなツール経由で他ディストリのソフトウェアも取り込める。自分の作業空間をとことん好みに合わせて組み上げたい人には、柔軟な構えに見える。

Caligra c100の価格は1,999ドル。初回ロットの予約は99ドルのデポジットで受け付けており、出荷は2026年1月を予定する。狙いは明快だ。これは大量市場向けのノートではなく、磨き込まれたデザインをまとったニッチな道具。書き、設計し、ものを作る人のために、コンピューターをもう一度“真のワークステーション”に戻そうとする試みであり、デバイスが前に出過ぎず、ただ仕事を進める助けになることを求める人に向けられている。