SMIC、EUVなしの5nm級N+3量産—Kirin 9030と歩留まりの現実

中国の半導体メーカーSMICが、EUV露光なしで5nm級チップの量産に踏み切り、自前の半導体基盤づくりで一段前へ進んだ。新しいN+3ノードは、現在の中国で最先端の製造プロセスとなる。TechInsightsは、HuaweiのKirin 9030がこのノードで製造されていることを確認しており、同国が技術的自立を進める上で大きな節目と言えそうだ。

N+3は、従来のN+2(7nm級。HuaweiのAscend向けAIアクセラレーターやその他のインフラ製品で採用)を実質的に一世代飛び越える。輸出規制で最新のEUVスキャナーにアクセスできないなかでも、N+3ではトランジスタ密度をより高めた。この結果だけでも、厳しい制約下でプロセス開発に相当の工夫が凝らされたことを物語る。

EUVを使わない代償は小さくない。極端紫外線の代わりに、SMICは193nmの深紫外(DUV)露光と、複雑なマルチパターニングに依存している。TechInsightsは、こうした攻めたメタライゼーションのスケーリングが、歩留まりに深刻な課題をもたらすと指摘。結果として、Kirin 9030の生産は採算が合っていない可能性が高く、相当の割合のダイがスクラップになるか、機能を削ったバージョンとして出荷されているとみられる。

所要の線幅を出すために、SMICはセルフアラインド四重パターニングなどの手法を用いているとみられる。業界では知られた技術だが、大規模に適用するのは難しくコストもかさむ。工学的な達成としては目を引く一方で、歩留まりの逆風はなお解消していないとの見方が示されており、プロセスの安定性に関する詳細な統計も公表されていない。