Braiins Pool(旧Slush)が迎えた15年—ビットコイン・マイニングの歩みと現在地
世界最古のビットコイン・マイニングプールBraiins Pool(旧Slush)が15周年。累計131万BTC採掘、ハッシュレートは60,000KH/sから13.56EH/sへ進化。報酬設計とソフト/ファームウェアの歩み、1.3万人の利用者動向を解説。改名とASIC対応も強化。エコシステムを拡大。詳報。
世界最古のビットコイン・マイニングプールBraiins Pool(旧Slush)が15周年。累計131万BTC採掘、ハッシュレートは60,000KH/sから13.56EH/sへ進化。報酬設計とソフト/ファームウェアの歩み、1.3万人の利用者動向を解説。改名とASIC対応も強化。エコシステムを拡大。詳報。
© E. Vartanyan
暗号資産の歴史を象徴するプロジェクトの一つが、節目を迎えた。世界最古のビットコイン・マイニングプールは、Slushという仮名のプログラマーが立ち上げてから15周年を祝った。2010年にBitcoin CZとして始まり、その後Slush Poolを経て、現在はBraiins Poolとして稼働を続けている。単なる名前の変更にとどまらず、若い産業で今なお現役の参加者であり続ける稀有な存在だ。
同プールの集計によれば、累計で採掘したビットコインは1,311,339BTC。現在の価格に照らすと約1,150億ドル、今年のピーク水準では1,600億ドル超に相当する。立ち上げ当時、ビットコインは1枚あたりわずか0.22ドル。プールマイニングという発想も、愛好家のフォーラムで形になり始めたばかりだったことを思えば、時代の振れ幅は大きい。
計算能力の伸びも目を見張る。2010年にはネットワーク全体のハッシュレートが約60,000KH/sだったのに対し、2025年には13.56EH/sへ到達。およそ2,250億〜2,550億倍という規模感は、この15年でマイニング産業がどれほど作り変えられたかを端的に物語る。
このプールは、採掘難易度の上昇でソロマイナーが安定してブロックを見つけにくくなった局面で生まれた。Slushが提案したのは、参加者の貢献度に応じて報酬を分配するモデル。結果として持続可能で、コミュニティが荒波をくぐり抜け成長する支えとなった。利害の整合を素直に貫く設計こそ、結局は残る——その典型に見える。
現在、Braiins Poolには約13,000人のアクティブユーザーが集まり、ASIC向けファームウェアやマイニング管理ソフト、自社ハードウェアといった広がりのあるエコシステムを展開している。実験として始まった取り組みが、いまやビットコインの歩みを映す生きたアーカイブとなり、この15年で暗号資産業界がたどった距離を静かに示している。