インド政府がスマホOSのソースコードアクセスを協議、業界は知財リスクで反発

インド当局が、スマートフォン市場の力学を揺さぶりかねない取り組みを検討している。ロイターによれば、政府はApple、Samsung、Google、Xiaomiに対し、ソフトウェアのソースコードへの政府アクセスを認めるよう求める案を協議中だという。担当者は、約7億5千万台の稼働端末を抱え、オンライン詐欺やハッキングが増えるなかでのサイバーセキュリティ対策だと位置づけている。

この議論は、モディ首相の掲げるユーザーデータ保護強化の一環だ。企業側との協議はまだ緒に就いた段階で、政府側は産業界の見解を踏まえる用意があるとしている。一方で、インド電子情報技術省はソースコードの提出を直接求めている事実はないと公に否定。ただし、ロイターが指摘した具体的な中身には踏み込まなかった。スマホ各社と業界団体MAITは、これまでのところコメントを控えている。

現行案では、各社が自社端末の包括的なセキュリティ監査を実施し、その後にインドの認証ラボが脆弱性の有無を確認するためソースコードを精査できるようにするという。これに対しMAITは、プライバシー、営業秘密、知的財産へのリスクを挙げ、ほぼ実行不可能だと主張。主要国の多くはソースコード開示を求めていないとして、政府に撤回を要請している。

コードアクセスにとどまらず、議論中のルールには、マルウェア対策としての定期スキャンの義務化、重要なアップデートやパッチを国家通信セキュリティセンターへ事前通知すること、そしてシステムのアクティビティログを1年間保存することなどが含まれる可能性がある。業界側は、これらが電池消費の増加、アップデートの遅延、多くの端末でのストレージ不足につながりかねないと警鐘を鳴らす。

アプリやシステムの挙動に踏み込む案もある。ユーザーが気づかないまま行われるカメラ、マイク、位置情報へのバックグラウンドアクセスを抑制し、端末がルート化や侵害の兆候を検知することを義務づけ、古いソフトのインストールを遮断し、大半のプリインストールアプリを削除可能にする、といった方向だ。どこまで実現するかは見通せないものの、この話題が浮上しただけで、政府と世界的なテック大手との間には緊張が生じている。向かう先は明白だ。生活に密着したテクノロジーへの監督を強める一方で、業界が指摘する知財や使い勝手のリスクとの綱引きが続く構図である。